我ら アホガク バレーボール部
校長の一服ついで(かどうかわからないけど)

の話はしばらく続いた



「戸田先生、私はね」



・・・・・・



「ここの先生方に生徒達の学力レベルを上げるとか そんなことを期待しとらんのですよ」



・・・・・・



「それよりもね どんなことでもいい 勉強じゃなくてスポーツでも 趣味みたいなことでも なんでもいい 彼らに真正面から向き合ってやって欲しいんですよ」



・・・・・・



「彼らは学校という場所で おそらく今まで一度も まともに大人から相手にしてもらっていない そういう子供達です」



・・・・・・



「そんな生徒達にね 真っ正面から向き合って 相手をしてやって欲しいんですよ」



・・・・・・



「私は 教育っていうものの根本はそういうものだと考えています 学力うんぬんじゃなくって教師と生徒がストレートにぶつかりあう その中で生徒がいろんなことを学んでいくもんだ ってね」



俺は何も言えず黙ってタバコふかすことしかできへんかった



そりゃそうやろ

教員免許持ってるとはいえ

むっちゃにわか仕立ての教師やねんから



「まあ、辞めんのはいつでもできますからね ちょっと考えてみてくださいよ」

と校長は俺の肩をポンとたたいて

タバコをもみ消して

喫煙室から去っていった



長谷部先生が退職することを聞いたのは

それからちょうど一週間後の

終業式だった
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