夢と恋のあいだ
……なんなんだこの男は。



私は手を震わせる。



「奈子?」



「ばっかみたい!!」




「へ?」



戒はビックリしながら私を見上げる。



「は!?家出!?いい年こいてガキみたいなことしてんじゃないわよ!お金があるだけ有り難いと思え!いらないんだったら貧しい子供達に寄付しろ!」



長いセリフに私は息切れをしながら今の言った言葉を後悔する。




「ご、ごめ……っ」


「いいよ。」



「へ?」










「奈子の言うとおりだな。」



戒はそう言うと私の足にバンソーコを張る。





…戒?




その時、物凄い音のするバイクが灯台の目の前に止まった。



「!? なに!?」





「光汰ぁ~。私酔っちゃったぁ♪」



海を眺める女は男に抱きつく。



「マジィ?んじゃ俺も酔っちゃうかな~♪」




…バカップル?



唖然とする私達に気付くと、男は戒をジッと見つめる。



「あ!?戒?」


「へっ?」


「光汰か!?」



「えぇっ?」




「マッジで~!久しぶりじゃぁん!」



二人はガッチリ ガッツポーズ。



アホ?





「お前家出したんだって!?バカかよ。」


「うるせー。お前もよく女に飽きないなー!」





「あのぉ……」



私は二人の間で手を上げる。





「お二人はどういうご関係で?」


「何お前!?年下まで手出しちゃってんの!?」


男はぶっと噴き出す。


だから何なんだよ。コラ。


私は男を睨みつける。
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