REVERSI

――――…

それから、僚の宣言通り見慣れた街に戻って、久しぶりだな、とか懐かしさに浸る前にあのファーストフード店で、ホットドックを買って、店員さんがあの時の女の子のままな事に少し驚いたり。やっぱり、僚が『ニューヨークホットドック』と頼むには良い声過ぎるとか、笑えたり。


気付けば、時間は10時を回っていて、僚は少しだけすまなさそうにあたしを見つめる。


「すまないな。こんな時間まで連れ出すつもりじゃなかったんだが」


「別に、いいですよ」


本当、今更。だけど、楽しかった、なんて



「暇だったし」



言えない。



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