REVERSI
僚は少しだけ眉を上げてフと笑う。だから、その表情が優しいから困る。
「…また誘ってもかまわないか」
ねえ、なんで、その返事をあたしが答えれると、
「いや、また強制的に連れ出すから問題ないか」
あたしの返事なんて待たない低い甘い声。
反則。
僚があたしの目の前にいて、澄んだ空気が刺すように痛くて、胸の鼓動が馬鹿みたいに急ぎ足で、
僚のくっきりとした薄い瞳が距離を縮める。
それをあたしは拒まなくて、
左の泣きボクロを無意識に指先で触れる。
もう、
なんで、
いまだにあたしはこの人にこんなに揺らされるんだろう。