REVERSI

向かった先にあったのはオープンカフェタイプの可愛い店舗。駅から歩いて五分。立地条件良し。木目の扉を開けると、甘い匂いがフワッと鼻をくすぐった。


客入りもまずまずで、あたしとツトムは窓際の席に座る。


「何かこーしてると…」


ニヘラっと笑う人懐っこい笑顔はそこで言葉を止める。


「?」

「カップルに見えますかね」


満面の笑みに、間いれず「見えない、見えない」否定する。ツトムは眉を寄せて「いや、見えますって」と言い張る。見えた所で何なのか。


「『あーん』とかしてくれても問題ないすよ」



「無理」



ツトムはヤレヤレみたいな顔で笑って「俺、結構モテるのに」なんて言ってる。だから、妙にマジマジと眺めてしまった。



< 121 / 423 >

この作品をシェア

pagetop