REVERSI
向かった先にあったのはオープンカフェタイプの可愛い店舗。駅から歩いて五分。立地条件良し。木目の扉を開けると、甘い匂いがフワッと鼻をくすぐった。
客入りもまずまずで、あたしとツトムは窓際の席に座る。
「何かこーしてると…」
ニヘラっと笑う人懐っこい笑顔はそこで言葉を止める。
「?」
「カップルに見えますかね」
満面の笑みに、間いれず「見えない、見えない」否定する。ツトムは眉を寄せて「いや、見えますって」と言い張る。見えた所で何なのか。
「『あーん』とかしてくれても問題ないすよ」
「無理」
ツトムはヤレヤレみたいな顔で笑って「俺、結構モテるのに」なんて言ってる。だから、妙にマジマジと眺めてしまった。