REVERSI

休日の1日は早くて、また明日が始まるもう数十分前。

酔いなんて、唐突な再会で驚く程冷めてしまう。もう早くこの店を出たい、と焦る感情と、反対に―まだ、『彼』の空気に触れていたいと思う矛盾した感情。本当に、嫌になる。




「…ひじり?今日はど~する?」



京ちゃんが、そんなあたしを見透かすように、首筋までの短いあたしの髪を指先で遊ばせた。


「ん、京ちゃんとこ行く」


週末は、いつも、そう。誰かの温もりに触れてたいあたしを京ちゃんは寂しがりやだよね~なんて笑うけど、誰よりも京ちゃんの温度は優しいから。


「じゃ、俺もう酔ったから帰ろ~」


間延びした独特の口調、甘い声は酔っていても変わらない。嫌みのない京ちゃんのトワレの香りがあたしを纏って、それに促されるようにバーを出た。




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