REVERSI
「ひじり、」
京ちゃんがあたしを呼ぶ。その声が甘くてくすぐったい。
「ん?」
軽く見上げれば、京ちゃんは悪戯っ子のように笑う。
「星、見せてあげる」
そう言って、ダウンジャケットのポケットから手を抜いて携帯を取り出した。
京ちゃんは、あたしのいる場所から猛ダッシュで離れて、小さな公園の前で止まった。
「ひーじーりー」
携帯のイルミネーションがチカチカしているのがかろうじて分かる。京ちゃんはそれをブンブンと振っていた。
「ふっ、は、何それー」
本当、星には見えないから
あたしは思わず笑って、京ちゃんも笑った。