REVERSI
街灯の灯りで表情は読めない。
「『久瀬さん』?」
京ちゃんの唇が機械的に動く。
「違うけど、違わない」
「なにソレ」
「緩い感じでいいから」
京ちゃんとは、グレイでいたい。なんて言ったら勝手で失礼なんだろうけど。
「ひじりって本当勝手。俺が抱きたい時はどーすんの」
冷たく笑う京ちゃん。本当にいつだって分かりにくい。
「一人でして」
「うわぁ。もうそこまで言われると逆に痺れるね。俺ってエムだっけ?」
可笑しそうな口調で笑うから、あたしもつられて、二人で笑った。