REVERSI
「橘って名字?なんかかっこいい」
京ちゃんも僚も普通過ぎるし、あたしも思わず普通の感想。京ちゃんは、そう?とか生温い返事。
「ご紹介どうも」
彼女はそんな様子に少し眉を寄せて、それでも微笑を崩さず僚に視線を持っていった。
「久瀬さんとはどういった仲なの?」
トーンの明るい口調。だけど、絶対的にその答えを促す空気。
少し沈黙した僚。なんて答えるんだろ。
だけど、その表情はやっぱり無表情で、何考えてんのか全く分からない。
吸い込まれそうな真っ黒い瞳。軽くセットされた黒髪。黒いスーツ。夜の灯りだけで溶け込みそうな容姿はやっぱり見てるだけで目に毒だ。