REVERSI
「は、は、は、何てゆう会社なんですか?」
その時はまだどこか半信半疑で嘘くさい笑いを作るのに精一杯。
だけど、
ああ、聞かない方が良かった。僚が答えたのは、あたしもお世話になってる頭痛薬の製造会社だ。確かに有名な上場企業の製薬会社。なにそれ、ほんと、とんでもないんですけど。
「専務、あのですね、あたしは経歴は決して立派なものじゃないし、また秘書なんてやった事ないです」
だから、どう考えても無理。
そう力強くいうのに、僚は眉をピクリとさせただけで、
「専務、か。その呼び方も悪くない」
論点が、ズレて?