REVERSI
っていうか、それに、
「問題は山のようですけど、その前に僚はこの店のオーナーじゃないんですか」
確かにそう言ってたよね?
「ああ、このビルが俺の名義なだけだがな。一応オーナーという事になる。会社も親が経営に関わっていただけだ。大した事をしている訳ではない」
「…、なんか壮大過ぎてついていけませんが」
偉い人じゃん、僚って。いや、偉い人っていうか金持ち?一穂そんな事一言も言わなかったけどな。
「そうだな、結婚の約束までしていたのに知らなかった方がドラマチックだ」
僚はあたしの思考を見透かしたかのように言う。
「煩いです」
ある意味禁句のそのワードに一番触れたらいけないような人が言ったけど、腹が立たないのは、まるで自然過ぎたからなのか、それとも、時間はそれだけの余裕を与えたという事なのか。