REVERSI

僚はグラスを置いて、ああと短く答える。いや、返事になってないですってば。

「君が言っているのは貴子で間違いないか?」

「それ以外にもいるなら別ですが」

そりゃこれだけ整った人だから、女なんて立ってるだけで寄ってくるだろう。

「全く。そう突っかからないでくれ。貴子は問題ない。」


問題ない?眉を上げたあたしに僚は涼しげな顔で続ける。








「ただの婚約者だ」





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