REVERSI

覗き込む瞳は黒くて、揺れない表情からは何も読み取れない。その僚の優しさを勘違い、してるのかもしれないとは思うけど、それでもその優しさに感情が揺さぶられるのは仕方ない事だ。好きだと言われた訳じゃない。だけど、必要だ、と意思表示をしてくれるこの人にあたしは何か答えなくてはいけないんじゃないか、きっと。


僚が短く息を吐いた。フゥと掠める吐息はドキリとする位、切ない。


「泣かせない。泣かせたくない。動揺してしまう。聖、はっきりいうぞ。俺は優しくない。君がどう思おうとどうでも良い。」


僚は淀みなく低い声を続ける。


「…ムカつく。」



あまりにも不似合いな口調に、アンバランスで綺麗な微笑。


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