REVERSI

それはいつかあたしが言った言葉だ。勝手に京ちゃんとあたしを重ねて、嘘で纏うよりもさっさと認めた方が簡単なのに、出来ないよね、って意味をこめた。


今、京ちゃんが自嘲したように呟くのにはやっぱり理由があって、必然だ。


「俺は聖を手放せないよ。『久瀬さん』には悪いけど」


伸びた指先が頬を伝う。唇を撫でて、京ちゃんは艶やかに笑った。



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