REVERSI
「――聖?」
京ちゃんの声が近い。懇願するようなそんな細い声、だけどそれを閉じ込めた表情はアンバランスで、それでもなんて器用に成り立つんだろう。
「京ちゃん、」
「ん」
「あたしで良いの?」
ごめんね、麻由。
「聖が良いんだよ」
初めから京ちゃんは麻由のものだよ。だけど、
「分かった」
もう少しだけ、この緩い安全枠の中で守らせて。
「それじゃあ京ちゃんがあたしをいらなくなるまで」
―――傍にいるから。