REVERSI
「駄目~」
京ちゃんは、面倒くさそうな、距離を置いた笑みに乗せて緩く語尾を上げた。
「このままだと宙ぶらりんというか、」
あたしの感情がついてかないというか、ケジメ、とか、
「うん。分かるよ~。だけど、無理」
何気ない口調なのに、どこか、有無を言わせない声が続く。
「ひじりは今久瀬さんに会ったりしたら揺れるかもしれない。『そんな事ない』とかつまらない言葉吐かないでね?俺だってイジメたい訳じゃないし。『かも』だよ。だけど、そんな可能性もなくはない。」
そこで言葉をきって、タバコを消した。
「なら、初めからその可能性自体作らなきゃいいでしょ?宙ぶらりんでも俺は全然構わない。」
どこにも余裕を与えない態度は、少し冷たくて、それなのに、熱を持って、こんな京ちゃん、初めてだ、と思う。