REVERSI
華奢な体。柔らかそうな長い髪。照明に当たる青白い肌。大きな瞳は今潤んで赤い。口紅を引かなくても赤い唇は少し震えていた。
『麻由をこんな所に座りこまして良いと思ってる?』
いつか、酔い潰れた麻由を見て京ちゃんが冷めた目であたしにそう静かな怒りをぶつけたのを思い出す。あの時は『俺の麻由』そう言っている気がした。
それが、今、
今にも泣き出しそうな麻由を一度も見ず、冷ややかなオーラさえだして突き放そうとする京ちゃん。
なんで、こうなったのか。
そんなの、分かりきってる。
「…聖のせいだよ」
沈黙を破って震える麻由の声。
そう、あたしのせいだ。