REVERSI
「麻由に京ちゃんが必要なのは分かったよ。だけど、それはどういう意味で?依存、とかそんな言葉じゃなくてはっきりした立位置を教えて」
静かにあたしは尋ねた。ザワザワした店内にそれでも麻由にだけははっきりと耳に届く声で。
「…聖には関係ないでしょ」
「ここまできて関係ないとか、無意味な問答したくないから」
「そうやっていつも冷静なんだね聖は。」
麻由が唇を噛む。冷静な訳ない、手だってちょっと震えてる。
「いつも涼しい顔して。何でも分かってますって態度で。誰にも媚びない。そうだね。聖にしたらあたしは面倒くさいでしょう?どうしてあたしの京に対する気持ちなんて聞くの?それよりも責めるのが普通じゃない?『結婚してるでしょ』って。」
最後の言葉だけ口調を強めて、麻由は疲れたように目を伏せたけど、それでもすぐあたしを見つめた。