REVERSI
「京ちゃん、今、自分がどんな顔してるのか分かってんの」
振りほどかれた京ちゃんの腕が空を切る。
「京ちゃん、好きだよ」
真っ直ぐに見つめたあたしの視線を受けて京ちゃんの瞳が僅かに揺れた。
「会話に入ってこなかったのは怖かったから?」
ねぇ、あたしってば京ちゃんマニアなのかな。
「ぶたれたあたしを庇ったんじゃないでしょ?」
麻由に冷たい声を向けたのは、
「麻由をこれ以上傷付けたくなかったからでしょ」
ちょっとやそっとで簡単に埋められる感情じゃない。ねぇ京ちゃん、初めて出会った時、京ちゃんは麻由をまるで大事な物だと、『俺の物』だと、瞳で伝えていたんだから。