REVERSI
ライトが消えて見えた人影。
ドラマみたいだな、なんてぼんやり思う。
もう、なんなの、ねぇ、
なんで、
「聖!」
こんな時、計ったように傍にいてくれるのよ、
慌てたように運転席のドアが開いて、街の明かりにも一際目を引くその人が声を上げる。
それはスローモーションに見えて、
ぼやける視界に、あたしは、なんでこの人ってばもう、有り得ない、とか動揺しまくる胸の内で思う。
そして、顔を上げて視線を合わせたすぐ後、
「君は馬鹿か!」
通常では考えられない程、僚の焦った怒声が響いた。