REVERSI
* * *

「じゃあとりあえず、13時に待ち合わせね」

会社からヘルプの電話が掛かってきた一穂は、朝食もゆっくり食べ終えないままに席を立つ。


「別にいいよ。仕事でしょ?今日じゃなくてもいつでも行けるし」


あたしは一穂のシャツを渡しながら呑気な声を出した。実際、ソファはいつでも良いし。


「えー、俺が今日がいいの。早く聖と二人の生活がしたい」

「はいはい。もうすぐ出来るでしょ」


クスっと笑ったあたしに一穂は、じゃ行ってくると言って、軽いキスをすると急いで部屋を出た。


一穂は所謂、外資系企業総務部のマネージャーってゆう役職についていて、忙しい。あたしから見たらのんびり屋にしか見えなくて、会社での一穂を想像出来ない。


『聖に楽させたいから仕事頑張る』

なんてあっさり言う人。そのくせ、

『聖はしたい事していいからね』

とあたし中心な発言をしてにこやかに笑う一穂。


いまだに臨時採用なあたしには確かに勿体無いんじゃないかな。


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