REVERSI

「…なぜ、それをあたしに?」


「そうね。わざわざ報告する必要は無いのだけど。こちらとしては全く問題ないし。あの日あなたの元へ行ったお陰で久瀬さんは私の物になる。お礼を言いたかったのかしら?」


ふふ、と唇が歪んで、


「まあ、貴女じゃ彼の力にはなれないし。彼の為に何も出来ない。」


「分かってます…私は、久瀬さんに必要ありません」


「ええ。可愛い彼氏もいるみたいだし。」


貴子さんの思わない言葉に一瞬こんな状況なのに首を捻りたくなった。

…京ちゃんの事を言っているのかな、だとしても、違う、という事さえ意味のないような気がして力の出ない指先を行き場もなく動かせる。


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