REVERSI
大通りから背を向けて真っ直ぐに行った先がエントランスで、ガラス張りのロビーが高級ホテルのように存在している。ていうか今更、しかも当たり前だけどオートロックだ。
初めて僚の部屋に入った時は気が動転していたし、いちいち興味を持ってられなかったけれど、五重のセキュリティが当たり前なこのマンション。どうする、あたし。
うなだれて近くの外灯の下に腰を降ろす。これで完全な不審者になってしまった。溜息は隠さずに、携帯を手にとる。
僚のアドレス、消えてないかな、
登録はしてない、いつかの着信の履歴が残っている筈もなくて、あたしは更に肩を落とした。