REVERSI
こんな時、都合よく僚が現れてくれる筈もなく、結局あたしはまたタクシーを捕まえる。何やってんだ、と泣きたくなりながら自分の計画性の無さに頭を叩いた。
覚悟を決めた時には何もかも遅い、そう言われているようで、情けない。
思えば、知らない事だらけ。これでよく立っていられると思う。近付くのが怖くて知ろうとしなかった。割り切る事にそれが大人だと逃げて、何の成長もしてない。
はぁ、とまた溜息をはくと『一人で出歩かないでくれ』とあたしに言った僚を思い出して、意味もなくごめん、と心の中で謝った。