REVERSI

プルル、と聞き慣れた呼び出し音にさえもどかしく胸が震える。



こわいんだ、とそこで気付いて、少し笑った。






『……どうした』



出ないかと、思った、だけど、出てくれた。


何の前置きもなく疑問文だけ口にする声。それを聞いただけで背筋にピンと何かが走って、それと同時にどうしようもなく胸が締め付けられた。


「話が、あって」


今更だけど、電話でこんな会話駄目な気がする、なんて、


『なんだ』

「会えないかな」

あたしの問いに僚は一度だけ息を吐いて、

『無理、…だな』


分かっていても、そう突き付けられると、胸にズキン、と響く。


「…じゃあ、聞いて、」

あたしは駆け足で鳴る心臓の音を落ち着かせるようにゆっくり息をすった。