REVERSI

永遠にも感じられそうな間が、更に胸を締め付けて力の入らない指先が僅かに震えて、体の力がストンと抜けた。



『…聖』



僚の声、機械越しのその声から表情を読み取る事はできなくて、



『俺は、』



息を呑んだその音に、バクバクと胸が煩い。



何度目かの無言を通り越して、あたしは目眩がするような感覚を覚えた。



『…すまない』




起伏の無い声が、それ以上にもう得られる事のない感情の音のように。





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