REVERSI

頭が余計な事を考える間にも時間は過ぎていく。今日、僚は日本を発つ。それが事実で、何も変わらない。もう、終わってしまったんだから、分かってる、分かってるけど、

「……吉沢さん」


ツトムが書類を挟んで怪訝な顔であたしをみていた。


「険し過ぎっすよ、今日の腫れぼったい顔じゃ三割増しに見れたもんじゃないというか、」


「うるさいなあ」


ツトムは「こわっ」とか言いながら顔を伏せた後、またあたしを呼ぶ。なに、って聞き返すのも面倒だもんで。


「携帯鳴り続けてま…」


すよ、とツトムはちょんちょんと机の上に無造作に置かれた携帯を指した。

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