REVERSI
「はい」
とあたしが営業用の声で通話を押した瞬間、
『あなた何やってるの!?』
いきなりの怒声、あうう、耳が、
『本当に不甲斐ないわね!どこが良いかさっぱりよ!』
この声、また聞くとは思わなかった。
「なんですか、貴子さん」
驚く間もないくらい口早に貴子さんの甲高い声は続く。
『なんですか、じゃないわよ!何してるの?』
「仕事中です」
あたしはのそりとデスクから離れる。ツトムが好奇心の塊みたいな目でみているし、何より今あたしは猛烈に仕事中なんだ。