REVERSI
隣の休憩室へ移動する頃には貴子さんからのこの電話の意味はなんだ、と考える余裕も出てきた。
『久瀬さんもあなたも訳が分からないわよ、あなたは久瀬さんが好きなんだと思ったんだけど違ったの?』
ツンツンした声にハァと、知らず溜息が零れた。
「好きですよ。間違いなく」
『じゃあ何シャーシャーと呑気に仕事してるのよ!』
貴子さんの言い回しにちょっと笑える。ギンギラギンにさりげなくと同じくらい微妙だな。
「振られました」
自分で言葉にして、あっさり傷付く程、やわだったのがすごく嫌、もう、泣きたい。