REVERSI

タクシーで高速を走って、第一ターミナルに着くと、あたしは小走りに入口へ急ぐ。人が多くて、みんな一人一人に人生があって、大事な人がいて、色んな経験を持ってると思うと、こうして人目も憚らず空港内を走るあたしなんてちっぽけだと思えてきた。

午後6時半の便ならもう僚は着いている筈で、間に合わないかもしれない。

案内掲示板では既にチェックインが始まっている時間で、空港内にいるとは限らないのに、


なんでだろ、自分でも、理由は分からない。
だけど、なぜか、なんの根拠もなく、僚に会える気がした。


あたしはこの直感を信じたい。


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