REVERSI
数倍長く感じた時間は、やっと終わりに向かう。話しているのは一穂が主で、『兄さん』の存在に浮かれているのか、あたしの様子が変だなんて気にしてなさそう。元々の状況もあるし。
誰かの携帯音が鳴って、それに反応したのは一穂で、「ちょっと、ごめん」と言って一穂が部屋を出る。
あたしは、深い溜め息をつかないように飲み込む。逃げ出したい。
最、悪だ。
僚は全く動揺なんてしてない涼しい顔を崩さない。何もかも知っていて仕組まれた事なんじゃないかと思える程。
二人きりの空間は、恐ろしく静かで、やっぱりあたしは下を向いたままで。