REVERSI
京ちゃんの柔らかそうな髪がフワフワしていて、思わず撫でたくなる。
「…だから、そんな変態目つきやめろって」
最早京ちゃんが呆れた口調なのは、慣れっこだし。
「やめない。あたしの楽しみ奪わないでよ」
ニヘラと笑いながら、確かに変態かも、なんて思う。
「京君、聖ちゃんには何言っても無駄だよ」
ククと笑いながら、声を挟んだのは付き合いは長いけど、いまだに年齢不詳で色気たっぷり甘いマスクのマスター。
最近店を改装してダーツバーに変貌させた洒落た店のこのカウンターに座りながら、ショットグラスをカランと揺らす。
「マスターまで、まあもういーですけど」
あたしは細長い煙草に手をかけて口元に持っていく。
京ちゃんがそれに極自然に火をつけてくれて、あたしは薄い煙をフゥと吸い込んだ。