REVERSI
――――…
バタンッ、と扉を開けて、あたしは京ちゃんの背中を探す。空気が冷たくて、肌に一瞬で氷の膜が張り付いたかのような感覚。
さみぃよ。そしてお腹の減り具合は最高潮で、あたしは何をしているのか。
とにかく、京ちゃんはどこに行ったのか、と辺りを見渡した時、薄く伸びる白い煙が鼻もとをくすぐる。
「…何してんの?」
京ちゃんの声。
「あたしのセリフじゃない?それ」
京ちゃんは扉のすぐ横に持たれて煙草に火を付けている。
「煙草吸ってるだけー」
茶色の髪が店のランプに当たって柔らかいオレンジに見えた。