REVERSI
今に限って京ちゃんと初めて出会った時を思い出す。僚との出会いがそうさせるのかも分からない。
京ちゃんは猫みたいな人。簡単に懐かない、気まぐれで自由で、そのくせ、寄り添ってくれる。だけど、その態度はいつだってわかりづらい。
「で、聖は何してんの?」
京ちゃんはまたその疑問を向ける。あたしはフゥと息をついた。
「京ちゃんを追い掛けたんだよ。寒いから、帰ろ」
ゆっくり手を伸ばすと、京ちゃんはその猫目の綺麗な瞳を向けた。
「…はぁ」
深い溜め息で返す返事。
「京ちゃん?」
あたしは彼を覗き込む。
「俺、だせぇ。」
呟いた顔が、純粋に戸惑ってる表情で、あたしは口を閉じた。