REVERSI
そんな緩い空気と気怠い雰囲気に絆されながら時間はゆっくり過ぎていく。
京ちゃんの纏う独特のそれは、今までのどんな男の人にも感じた事はなくて、すごくハマる。
彼氏、じゃない。体の関係はあるし、お互いフリーだけど、何だか京ちゃんをその枠に当てはめるのは違う気がする。
それに、恋なんて、もういい。
白か黒か、決めなきゃいけない恋愛なんて疲れる。だったらグレイで、京ちゃんとのこの関係が楽。
下らない話をしながら何本目かのタバコに火をつけた時、扉がカランと開いてカウンターにいたあたしは何となく目を向けた。
こんな条件反射って我ながら嫌でもなくならないんだよね、とか緩い事を考えて、
あたしは、その来客から、今度は『別の意味』で視線を離せなくなってしまうんだけど。