夏
2
「誰にも言うな」
「むしろ自分が悪いんだし言えないかぁ」
もう一回ひとりずつ私を蹴ってから準備室を出て行く。
久しぶりの体の痛みに暫く動けない。
皆が踏み付けている床に頬をべったり付けて荒い呼吸をしている自分が惨めだった。
そろそろ行かなきゃ。
誰かこの部屋に入ってきたらまずい。
不幸中の幸いであまり目に見える所は傷付けていない。
腹や背中に痣が出来るくらいだ。
動く度にぎしぎしと痛みが走るが、問題無いだろう。
埃を払って、上履きの足跡を目立たないようにする。
ブレザーを着れば分からない。
もうすぐ昼休みが終わる。
永久くんは今日は『切石』の家に北河くんと行ってお休みだ。
そういう時を向こうも狙っていたのだろうけどこっちも都合が良い。
教室に戻る。
昼休みも残り少なくて皆忙しい。
私に気付く人なんていない。
鞄とブレザーを持ってすぐに教室を出る。
下駄箱について靴を履き変えて、歩き出すと携帯を取り出す。
永久くんが持っていてと渡してくれたけど、久しぶりに使う。
画面を見ると14件羽夏さんから着信がある。
リダイヤルして掛ける。
「あ、羽夏さん……うん、ごめんなさい……あ、なんか、急に具合悪くなって………うん、ずっとトイレにいた……今、帰ってる最中……ごめんね……大丈夫、家で休めば…気にしないでね…」
畳み掛けるように心配していた、探していた、何処にいる?と聞かれ、慎重に答える。
具合が悪くなって帰ると自然な感じで伝える。
「むしろ自分が悪いんだし言えないかぁ」
もう一回ひとりずつ私を蹴ってから準備室を出て行く。
久しぶりの体の痛みに暫く動けない。
皆が踏み付けている床に頬をべったり付けて荒い呼吸をしている自分が惨めだった。
そろそろ行かなきゃ。
誰かこの部屋に入ってきたらまずい。
不幸中の幸いであまり目に見える所は傷付けていない。
腹や背中に痣が出来るくらいだ。
動く度にぎしぎしと痛みが走るが、問題無いだろう。
埃を払って、上履きの足跡を目立たないようにする。
ブレザーを着れば分からない。
もうすぐ昼休みが終わる。
永久くんは今日は『切石』の家に北河くんと行ってお休みだ。
そういう時を向こうも狙っていたのだろうけどこっちも都合が良い。
教室に戻る。
昼休みも残り少なくて皆忙しい。
私に気付く人なんていない。
鞄とブレザーを持ってすぐに教室を出る。
下駄箱について靴を履き変えて、歩き出すと携帯を取り出す。
永久くんが持っていてと渡してくれたけど、久しぶりに使う。
画面を見ると14件羽夏さんから着信がある。
リダイヤルして掛ける。
「あ、羽夏さん……うん、ごめんなさい……あ、なんか、急に具合悪くなって………うん、ずっとトイレにいた……今、帰ってる最中……ごめんね……大丈夫、家で休めば…気にしないでね…」
畳み掛けるように心配していた、探していた、何処にいる?と聞かれ、慎重に答える。
具合が悪くなって帰ると自然な感じで伝える。