制服を着替えてリビングに行くと透尚がお味噌汁を温めてくれてる。
「今日せっかくだから羽夏さんの好きなの作っちゃいました」
アジの開きの干物。
ダシ巻き卵。
大根おろし。
納豆。
小松菜のおひたし。
お味噌汁。
「超美味しそうっっ」
思わず嬉しくてにっこり。
「透尚、ホント良いお嫁さんになるよ」
ご飯をよそって席に着く。
「女の子ふたりものんびり出来ていいね」
いつも男ふたりが煩いからね。
「うん、羽夏さんいてくれて良かった」
頬をピンクに染めて言う透尚は超可愛い。
私はどっちかっていうとハーフ顔で冷たく見えがちだから(この顔はこの顔で色々お得だから好きだけど)こういう可愛い顔が好き。
透尚は華奢な感じとか、声の小ささとかでうちの学校の男が裏でやってる守ってあげたい女の子ランク上位なのがよく分かる。
「私は透尚が大好きだし透尚の料理が無いと死んじゃうからねぇ~」
自分に対して恐ろしく自信が無い透尚にはこれくらい大袈裟に言うくらいで丁度良い。
「だ、だい、好き…とか、嬉しい…です」
顔を真っ赤にして俯いてもくもくと食べる透尚。
いつもの透尚にしたら喋り過ぎたかな。
喋り過ぎて透尚が食べ終わらないと可哀相なので、ニュースを見ながらたまに透尚と喋りながらのんびり朝食を食べ終わり登校の準備をする。
永久に昨晩言われた通りビタミン剤等を食後透尚に渡すのも忘れない。
「透尚、今日はブレザー要らないんじゃない?」
外は夏と見間違う暑さ。
こないだまでは梅雨で寒くてブレザー手放せなかったけど。
季節が変わるのは早い。
「あ…まだ、いい、かな…」
そっと、ワイシャツの襟元を握るなおの気持ちには、気付かなかった。


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