夏
10
砂と涙で薄汚れた顔を、まさかと声の方向に向ける。
「可愛い顔が台無しじゃあん」
口笛を吹きながら倉庫に入って来たのは男子数人。
「相楽ちゃんは彼氏とかじゃなくてもヤッちゃうって聞いたけどホント~?」
おどけて男の中のひとりが前に出て来て言ってくる。
顔が間近で気持ち悪い。
声が出なくてぶんぶんと首を横に振ると背中を蹴られる。
「ウソついてんじゃねよっっ」
「白井君は彼氏じゃないっつったの誰だよっ」
また蹴られる。
床の砂利と顔が擦れて唇が切れた。
「まぁまぁま、イイじゃん。どっちにしろ相楽ちゃんは俺達と仲良くスルんだし」
明るく笑って私のブレザーを脱がす。
余りに怖くて体が動かなかった。
永久くんがいつもしてくれるみたいな優しい手じゃない。
狂暴で残酷な手が私に伸びる。
怖い。
嫌だ。
全身が拒否する。
「ぃ、ゃ…っっ」
「はいはい騒がないでねぇ」
「そ、俺達は優しくしたいんだけどぉ」
「こいつらがなるべく痛め付けろとかキチクな事言うしぃ」
「ま、楽しもうよ」
口々に勝手な事を喋るけど耳に入らない。
嫌だ。
嫌。
此処は、また、暗くて、痛くて、怖い。
怖い。怖い。怖い。怖い。
「可愛い顔が台無しじゃあん」
口笛を吹きながら倉庫に入って来たのは男子数人。
「相楽ちゃんは彼氏とかじゃなくてもヤッちゃうって聞いたけどホント~?」
おどけて男の中のひとりが前に出て来て言ってくる。
顔が間近で気持ち悪い。
声が出なくてぶんぶんと首を横に振ると背中を蹴られる。
「ウソついてんじゃねよっっ」
「白井君は彼氏じゃないっつったの誰だよっ」
また蹴られる。
床の砂利と顔が擦れて唇が切れた。
「まぁまぁま、イイじゃん。どっちにしろ相楽ちゃんは俺達と仲良くスルんだし」
明るく笑って私のブレザーを脱がす。
余りに怖くて体が動かなかった。
永久くんがいつもしてくれるみたいな優しい手じゃない。
狂暴で残酷な手が私に伸びる。
怖い。
嫌だ。
全身が拒否する。
「ぃ、ゃ…っっ」
「はいはい騒がないでねぇ」
「そ、俺達は優しくしたいんだけどぉ」
「こいつらがなるべく痛め付けろとかキチクな事言うしぃ」
「ま、楽しもうよ」
口々に勝手な事を喋るけど耳に入らない。
嫌だ。
嫌。
此処は、また、暗くて、痛くて、怖い。
怖い。怖い。怖い。怖い。