ざあああああ。
雨が強い。
夏は天気が変わり易い。
高校出たばかりは晴れていたのにもうすぐ家だという所で土砂降りの雨だ。
ツいてない。
今更春に連絡しても遅いし、仕事だろう。
永久と透尚は家にいるだろうか。
かちゃり。
玄関を開けるとパタパタと軽い足音。
「羽夏さんっ大丈夫ですか」
透尚が駆け寄ってくる。
ちゃんとふわふわのタオル付きだ。
本当に気が利く優しい子だ。
「私達帰る時、天気悪かったから気にしてたんだ」
髪を一生懸命拭いてくれながら話してくれる。
別に透尚のせいじゃないのに。
「これくらい大丈夫だしっ」
にこっと笑ってあげるとほっとしたように小さく笑う。
まだ少しぎごちないけど気にしない。
「あ、お風呂、沸かしておいたよっ」
人の事になると何時もより行動力がある。
はいはいと背中を押されながら歩いて行く。
本当に心配してくれてるみたい。
嬉しい。
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