愛の毒が廻る頃には 【超短編集】
「文化人類学の、あの女教授だよ。年上のあんな綺麗な人と俺が…ムフフ」

田中は嬉しさの余り、不気味な声を出した。

「…教授って、みんなが“ヤマンバ女”って呼んでる、ヒステリーでゴリラみたいな…ババア教授…??」

「高橋。お前、嫉妬してそんな事言ってんだな!

まあまあ妬くなよ、あんな美人と俺が付き合えるからってさ。まあ、あんな美人なかなかいないもんな。分かるよ、その気持ち!」

僕の全身の力は、まるで恐ろしい魔物にひっこ抜かれたみたいにズルリと抜けて行った。

“最前列の美人”

確かに正確に言えば、最前列は教授に間違いない。



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