愛の毒が廻る頃には 【超短編集】
折れそうになる気持ちを奮い立たせ、ホウキはちりとりを睨みつけた。

「上等だ、ちりとり!俺がへし折られる前に、お前こそ真っ二つにしてやる。お前の代わりになる物なんぞ、この世にゃ沢山あるんだぜ」

ちりとりは涙ぐんだ。
確かにそうだ。

ダンボールや新聞紙を2つに折ればちりとりの代わりになるし、最悪、硬めの紙でも谷折りすれば全然ちりとりとして使えてしまう。

自分には絶対的価値が明らかに無い。

(特別な価値の無い俺達ちりとりに、人間は愛情なんて持つ訳ねえ…)



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