俺とお前と宇宙たわし
「すいません、このたわし、タグがついてないんですけど」
レジに行くなりすぐに店員に告げた。
「そうですか。んーじゃぁちょっと待ってくださいね」
ただのバイトだと思われる店員は、そのたわしをもってどこかに行った。
しかし、3分位したら戻ってきた。
「見つけてくださってありがとうございます。
店長に尋ねたところ、見つけてくださったお礼にこのたわしは差し上げてよいそうです。持って帰ってください」
宇藤は躊躇ってしまった。
「え、俺別に要らないんですけど」
「でもお礼です。どうぞ」
店員はビニール袋に入れて渡してきた。
「じゃあ貰っておきます」
あまりに拒否するのも何なので、貰っておいた。
「ありがとうございました!」
店員の声が聞こえた。
こんなときでも「ありがとう」と言うんだな、と思った。
「でも、ちょっと得したよな」
宇藤はボソッとつぶやいた。