聖盤遊戯
「…何だよ…コレ」
怜の瞳が驚きに見開かれた。
そこにいたのはケモノ。
ケモノとしか言いようの無い、怜が今まで見たことの無い生物だった。
黒いしなやかな毛並みに細い金色の瞳。
完全に怜を狙っているようにしか見えない。
「…逃げるか」
残念なことに周りに武器になりそうなものは何も無い。
ましてや渡り廊下だから逃げるとしても一直線に逃げるしかない。
せめて道が複数に別れていたら。
『ググル…ル…』
その途端、ケモノは怜に飛び掛るような勢いで突進してきた。
…俺は死ぬのか? こいつに殺されて。
怜の心の中にあったのはただ一つの感情。
『俺は…絶対死なない』
『生きたい』