聖盤遊戯
そこにいたのは紺色のスーツを来た若い女性だった。
まっすぐに怜を見てくる。
彼女の視線に怜は何故か嫌悪感を感じた。
「私が学校を案内させてもらうことになっているので」
「そうでしたか、ありがとうございます」
「では、ついて来てもらえますか?」
そう言って未来は学園へ続く道を歩き始めた。
歩いているうちに怜は凰綸学園が予想以上に広いことを知った。
小学校から大学院まであるからかもしれないけれど。
どれくらい歩いたんだろう。
もう15分は歩いた気がするのに校舎に着く気配は無い。
鬱蒼としている広い庭園と小さな森が見えるだけ。
怜の心に広がるのは退屈ばかり。
その時未来が遠くを指差した。
「そろそろですよ、天樹さん」
「…え?」
「あれが中等部の校舎です」
いつの間にかそこには大きな煉瓦造りの校舎が見えていた。