聖盤遊戯
席に着くと、いきなり隣の席から話しかけてきた女子がいた。
赤い色の髪に気が強そうな瞳。
どう見ても関わってはいけないような雰囲気がする。
「…私は紅夜 春架。 よろしく」
「あ、よろしく」
「あんた、此処の試験は受けた?」
「試験…? 受けてないけど」
そう答えた瞬間、がとても驚いた顔をした。
まるでそれが普通ではありえないことのように。
「嘘でしょ? ここは試験を受けなきゃ入れないはず」
「そう言われても、受けてないんだから何とも」
「…」
暫く黙ってしまう紅夜。
けれど、急に忘れていたかのように口を開いた。
「この学園の生徒なら、少し注意した方がいい」
「何にだよ?」
「…寮で暮らしてみればわかるわ」
紅夜の赤い髪が開け放された窓から吹く風に流れていく。
それからずっと彼女の瞳には、窓の外の景色しか映ることはなかった。