Amazing kiss
「夏休みはあたしも勉強だったなぁ‥
ねぇ、琉衣ほんとに平気?」
奈々が真面目な顔で訊いてきた。
『平気って、あたしはいつもと変わらないよ☆』
「そうだけどさぁ!」
ここまで言うと、奈々は口を動かすのをやめた。
奈々には分かっているのかもしれない。
あたしとあの人が、どうなるのか。
夢のようだった居心地の良さは、
まるで雲のようにいとも簡単に消える。
あたしは手だけじゃなく、心も冷えきった。
けれど‥
あたしはなぜか落ち着いていて、
こうなるんだって、見通していたみたいに当たり前の日常生活を送っていた。