=キング of ビースト=
すると少し遠くなった亮が
「一人お前追いかけてる。走れっ!!」
と叫んだのが聞こえた。
「はぁはぁ…はぁ。」
ローファーだから走りにくい。
「待てやゴラァ!!」
やっだぁ。後ろに迫って来てる。
「おい!!クソ女!!待てや!」
怖い。怖い。怖い。
だんだんと近づいて来る足音が、私の恐怖心を駆り立てる。
「はぁ。はぁ…はぁはぁっ夜琉!!」
私の小さな叫び声だった。でもここに夜琉は居ないのに。助けには来れないのに。
どうして私は、夜琉の名前を呼んでしまうんだろう。
後を付けられているから、家には帰れない。
家の場所がバレてしまっては意味がない。
どっかに隠れて電話しないとーーー。