=キング of ビースト=
すると開けっ放しにされたドアから入ってきた志織、その後ろには広未‐広斗の双子の姉‐が由莉をおんぶして入ってきた。
由莉の顔を見て息を飲む夜琉達。
広未は3人掛け用のソファーに由莉を寝かせる。それを見ていた夜琉がいち早く反応し、ソファーから腰をあげ寝ている由莉に痛々しい表情で近づく。
いつも表情を変えない夜琉。だけど、この時の夜琉は泣きそうな顔をしていた。
「…由莉。」
殴られた方の頬にそっと手を伸ばした。
「誰が…‥っ」
悲痛な声で璃玖が呟く。
「許さねー。」
低く鋭く呟く紅雨には一点の曇りもなかった。
「トランクに入ってる。」
雅が呟いた瞬時。夜琉は立ち上がった。