=キング of ビースト=
いつもは何も写していない目をしている夜琉。だが今の夜琉は冷酷で人を殺しそうなほど冷たい目をしていた。
夜琉が部屋から出て行った後
「あーあの車お気に入りだったのに。廃車かよ。」
雅が小さく呟いた。夜琉が出て行ってすぐに下っ端が広未に頼まれた冷水とタオルなど手当ての道具をもってきた。
広未は医者なのだ。
テキパキと手当てをしている広未の横ではイライラしている璃玖と紅雨、弘樹が怒りを抑えられないようだった。
だが
「今暴れても、何も解決しねぇーだろ。」
広斗に一喝された。でも広斗が夜琉を止めなかったのは、言っても聞かないと分かっていたから。
今回のことで一番自分を責めるであろう夜琉。
広斗には、夜琉の気持ちが痛いぐらいに分かるのだ。
自分も一度志織を守れなかったから。今でも広斗はそのことを悔やんでいる。
たとえ志織が自分を許しいるとしても広斗は自分を許すことが出来ない。その人のことが好きであればあるほど一生背負って生きて行くことになるのだ。