=キング of ビースト=
『バッタン』
扉が閉まる音がして、足音が聞こえてくる。
そっと手が伸びてきて、
「由莉…っ」
小さな声で私の名前を呼んだ。ああ、私が一番聞きたかった声だ。
その手がそっと私の頬に触れた。私はさっき閉じた目をそっと開くと
「‥ょ…る。」
「悪かった。」
悲痛な顔で謝ってくる。やめてよ、謝んないでよ。誰も悪くないのに。
私は私の頬にある手に触れようと手を動かした。
「…った‥。」
あの男に肩掴まれて、傷めてたの忘れてた。
「どこが痛い?」
「だ…ぃじょー…ぶ。」
これ以上心配かけたくない。なのに夜琉は、そっと私の肩に触れた。
ピクッと反応した私を見て、軽く力を入れた。
「ぃ…たぁ。」
「肩か。」
「…。」